くまごろうみたいなおっさんののりもの日誌

ハーレースポーツスターのぐうたら維持。

韓国ドラマブーム。(2)

 少なくとも地上波テレビをほぼ観なくなってしまって、テレビというものの仕組みが大きく変わっていくのだろうと予想せざるを得ない昨今、ネットフリックスにて我が家に韓国ドラマブームが来ました。近所の子供の同級生のお母さん経由です。

 まず、嫁さんがネットフリックスを無料体験したと聞き、私は料金が発生する前にきちんと解約するようにと言った記憶があります。そして気づいたら数ヶ月後、ネットフリックスがいまだフル稼働していることに気づき、指摘するとはぐらかされました。テレビから韓国語ばかりが聞こえてくる日々なのです。

 全く興味のなかった私が再三に渡り一度見てみろと誘われ続け、しかたなしに一話だけ見てしまったたのが間違いでした。どちらかというと当時は「ウィッチャー」のほうが興味がありました。ゲームをちょっとやっていたので。

 

 梨泰院(イテウォン)クラスにノックアウトされました。シビれました!

 

 熱量がすごいんです。見る者の胸ぐらを掴んで引きずり回す強力な勢いがあります。また、ジェットコースタームービーならぬ、ジェットコースタードラマです。日本では半沢直樹がブームになり、これを観ていた時も随分ジェットコースターな展開だと、すごい!と驚いていましたが韓国ドラマはどの作品も半沢直樹と同等かそれ以上の怒涛の展開なんです!

 過去の「冬のソナタ」、もう二十年以上前なんですねこれ、時の経つのは速いです。これはよく知らないんですが恋愛ものなんですかね。私は韓国ドラマには恋愛の印象があったのですが、どうやらそれより社会的であったり政治経済的要素がとても強いようです。

 日本のドラマは今となってはソフトで軽く俯瞰的、また新しい物を追求する方向性があるのかニッチなテーマを扱うことが多くなり、見る者を選ぶ作品が多くなっている印象ですが、韓国ドラマはハードで重く、普遍的であり大局的なテーマです。

 他に例える言葉を探してみると日本のドラマは「カジュアル」、韓国ドラマは「ネオクラシック」というようにも言えるかもしれません。

 

 気づいたらたくさん見てましたよ。もうですね、羅列させていただきます。

・梨泰院クラス:外食企業の熾烈な競争がテーマに社長と秘書の恋愛のエッセンス付、半沢直樹同様に土下座がハイライト。コミカルで現代的な映像描写にシリアスな愛憎劇のバランスがあっぱれです。

・愛の不時着:南北朝鮮のタブーがエッセンスに北の軍人と南の大企業社長の南北限界線を超えた恋愛がテーマ。北朝鮮の村の素朴さと韓国の都会的な華やかさの生活描写がとても興味深いです。私がテレビを見て初めて人前で泣いてしまったドラマ。これもコメディとシリアスがどちらもたっぷりで、バランスが絶妙です。前々回記事のオリーブチキンカフェ「bbq」はこのドラマです。

・キム秘書は一体なぜ!?:自称完璧だけど庶民感覚のズレた若社長と庶民感覚のある秘書のちょっとシリアスはあるが、がっつりハートウォーミングな恋愛もの。コミカルなコメディです。若社長の部下それぞれの恋愛エピソードもチラチラと平和に展開していく、トッピングがいろいろまぶされているドラマです。

・サイコだけど大丈夫:障害のある兄を持つ介護職員とサイコな絵本作家との恋愛もの。ささやかに幻想的な映像美にフレンチポップなBGM、童話的な展開です。

・刑務所のルールブック:過失致死を犯し服役したプロ野球選手が復活を目指す、刑務所なのにハートウォーミングな作品。同じ房の服役者それぞれのエピソードがしっかり描かれておりそれぞれが作用しながら同時進行していきそれぞれが完結する、マルチエピソードな作品。各エピソードが下手したら一つのドラマになりうるようなてんこ盛りなマシマシ感です。

・元カレは天才詐欺師:変な邦題が多い韓国ドラマの最たるもの。原題は「38師機動隊」。この邦題はさすがにこのドラマを全く現していない、冴えない税金取立の役人と天才詐欺師がタッグを組み半沢直樹的に経済界の大物の脱税をバッタバッタと成敗していくドラマ。かつてのビバリーヒルズコップや大福星を思い出すような主人公達の立ち位置。コメディ基調でありつつ時代劇的な勧善懲悪な展開のバランスがこれまたすごい。ついでにテーマソングがインコグニトみたいなアシッドジャズ風でバッチリかっこいいです。

・ヴィンチェンツォ:オールラウンダーのプロロードレーサー、ヴィンチェンツォ・ニバリならぬイタリアンマフィアのお抱え弁護士である韓国系イタリア人ヴィンチェンツォ・カサノ。イタリアでめちゃくちゃしてきた最強の主人公カサノが韓国トップの大企業の闇を叩き潰すドラマ。最強の悪が巨大な悪を徹底的に壮絶に叩き潰す展開がこの上なく痛快です。カサノはまさにかつての超絶美形主人公、バスタードのダークシュナイダーのような自称悪。これもまた強烈なコメディをベースに強烈なシリアス、強烈な残虐が器に溢れんばかりにメガ盛りされたドラマです。又、カサノの相棒との人間関係の行方の描き方が粋すぎます!こんなの見たことない!更に愛の不時着の北朝鮮の兵士役で出演していた俳優が出演しており、梨泰院クラスの主人公そっくりのチンピラとの脇役同士のパロディシーンは必見です。ちなみにこの人だけでなく、各ドラマでけっこう同じ役者が被っていて、それを探すのが楽しかったりします。役者の数が少ないのか?

・被告人:敏腕検事がこれまた…いやーこれは下手なことを書くとネタバレになってしまいます。何にしても上記で紹介したドラマに負けないものです。韓国ドラマはどれもけっこうシリアスなものでもコメディ要素が充分にあるんですが、これはコメディは少なめです。しかしシビれますね。きっちり勧善懲悪です。

 

 いやーたくさん見ましたー。それぞれ映画並みの密度で1話60分〜90分が16話程度あるので時間も長くどっぷり浸れます。

 で、必ず出てくるのが生死、貧富、身分と言った社会の根源的なものです。いずれのドラマもこれらが露骨に描写されています。この点も現在の日本のドラマと決定的に違う部分ですね。よく聞くのが昭和時代の日本のドラマとの比較です。確かにその比較は的を得ているかもしれません。しかし全く古臭くなく、それがまさにネオクラシックです。少なからず現代の韓国を描いていようものなので。例えたらハイテク満載でめちゃくちゃ優秀バイクとの噂の、復活したカワサキのz900みたいな感じでしょうか!?

 

 それと各ドラマには協賛自動車メーカーがあるのか、出てくる車種は必ず1社です。あるドラマでは社長も平社員もマセラッティでした。あり得ません!あるドラマでは北朝鮮も韓国も脱北者も逃亡者も皆ジャガーランドローバーでした。あり得ません!あるドラマでは介護職員も看護師も売れっ子絵本作家も皆ボルボでした。あり得ません!こんなところも見ものです。

 

   とにかく、韓国ドラマに共通するものを一言で言うと「熱量」です。

   昨今のこのブームの火付けは不時着やイテウォンなのかと思いますが、特に天才詐欺師やヴィンチェンツォ、被告人はそれら以上にパンチ力ありますよ!とにかく強烈です!